精度が高く良質でスピーディーな旋盤加工
精密NC旋盤 有限会社 関野製作所 野口憲一さん
今日は多種多様な製造業の中でも“旋盤加工”を専門としている関野製作所の野口憲一さんにお話を伺いました。「旋盤(せんばん)」って日常生活ではあまり聞き慣れない単語ですが、ご存知ですか?被切削物を回転させ、固定された工具で切削加工を行う工作機械の一つです。では、NC旋盤とはいったいどんに加工され、活用されているのでしょうか?野口さんにNC旋盤について教えて頂きました!
NC旋盤とはどんな加工?
【野口さん】『旋盤』とは、主に「外丸削り」「中ぐり」「穴あけ」「ねじ切り」「突切り」と呼ばれる各加工の総称です。材料が回転するので、円筒や円錐、皿形のように、必ず回転軸に対して対称形の加工品になります。『NC旋盤』は、加工したい各旋盤に数値制御装置を取り付けて、刃物台の移動距離や送り速度を数値で指示できるようにした機械のことです。
【COB】なるほど。そのNC旋盤を使って、どのような製品を作っていらっしゃるのですか?
【野口さん】具体的には、カメラのレンズ押さえの部分や内部で使われている部品、防犯カメラの部品などです。また、新幹線のナットとボルトの間の座金(ざがね)と呼ばれる部分や、エアーポンプの継手なんかも作っていますね。先日、自宅の扇風機の掃除をしていたら、自分の作ったパーツが出てきて「おぉ!!扇風機にも自分で作ったモノが使われているんだ!」と驚きました(笑)珍しいところで、霜降りの牛肉の霜降り度合いを調べるレーザーを反射させる装置の部品なんかも作っています。
どんな材料からどのように削り出すのですか?
【野口さん】鉄、真鍮、アルミ、ステンレス等の様々な材料を使い、4mmから30mmまでのサイズのものの製造に対応しています。ビックサイトで製造業専門のイベントをやっているんですが、ご存知ですか?展示会でも常に新商品が展示されるように、ドリルも常に進化しているので、早く安くなおかつ上質な製品をお客様にご提供出来るように、そのようなイベントにも足を運んで、時代に合わせて高精度の良い道具を取り揃えるよう心がけています。
うちは、受注数が多ければ多いほど、1つあたりの単価を安くすることが出来るので、量産品向きなんです。精度が高く加工の難しい製品のサンプルを1つだけ欲しい、といった場合は、八王子に精密機器の部品加工が得意な「政井さん」って会社さんがあるのでご紹介しますよ!多分うちより安く作る事が出来ますから。 量産品が得意なので100個〜1000個、多い時は1万個といった発注を頂くことが多いです。1日400個くらい作ることもあれば、1000個作る時もあります。
旋盤職人である義父は、精度が高くて作業も早いので1日で1000個くらい加工してしまうこともあります。旋盤の刃物もよりスピーディーに加工出来るようにと、自分で削るんですよ!職人としては、まだまだ自分は敵わないですね。
NC旋盤と作業の自動化
【野口さん】実は、結婚を機に妻の実家である関野製作所を継ぐ形で入社したんですが、元々ガソリンスタンドで働いていたので、私自身は旋盤加工については全くのド素人だったんですよ(笑)お義父さんや嫁の作業には敵わなくて…それで、NC旋盤の機械を2005年に導入して、自分も加工が出来るように、色んな場所へ出向いてプログラムの書き方を教えてもらって必死に覚えました。
プログラムって決まった作り方や形式がなくて、10人いれば10通りの作り方があるんですが、どの加工方法が作業工程と時間、そしてコストを抑えることが出来るかを念頭において作っています。最初はプログラムの数値が暗号にしか見えず、そんな状態で仕事をしていたので赤字も出しちゃいましたが…今では作り方のコツとノウハウが自分の中で出来てきたので、NC旋盤の自動化を促進する為の自動送り機も導入しました。
作られた被切削物の精度をチェック
【野口さん】出来上がった製品は、穴の大きさやネジがちゃんと入るか、サイズに狂いが無いかなどを計測器できっちり計ります。人の命に関わる製品やお客様のご要望があった場合は検査専門の会社に出すこともありますが、ほぼ弊社の測定器具でチェックしています。最近では、より細かい数値を計測する為の測定器なども導入しました。物によっては全てのサイズを図りますがNC旋盤を導入してから、ほぼ寸法の狂いはなくなりましたね。
おちゃめな野口さんの素敵なチャレンジ
【COB】最近作った面白いものって何かありますか?
【野口さん】そうですね、ちょっと暇な時に遊び心で結婚指輪も作ってみたんですよ。2mmの石に対して1.98mmの穴を開けて押し込むと石が簡単には外れなくなるので、その寸法でステンレスを使って作ってみました。こういったものを作っても面白いかなと思って作ってみたんですけど、そういえば自分の得意分野は量産品で、1点物の製作は向かないんだった、って思い出しました(笑)でも、旋盤で加工したモノをたくさん使った作品を作りたいアーティストの方がいたら、きっとお手伝い出来ると思いますので、気軽に連絡していただきたいですね。
【COB】いかがだったでしょうか?私達も取材をするまでは「旋盤」がどのようなものなのかよく分かっていませんでしたが、とても奥が深く技術力と知識のいる加工でとても面白かったです。こんな加工を頼みたかった!という方は、是非野口さんに連絡してみてくださいね。
有限会社 関野製作所
〒193-0813
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042-623-5628
※COBのサイトを見たとお伝えくださいい