基本情報

日本機械工業株式会社

東京都八王子市中野上町2-311

042−622−7281

消防車が生まれる歴史ある場所


秋川街道沿い、萩原橋を北へ渡った地区は、元々製糸工場があった地帯、元々製糸工場だった場所に、昭和18年に消防自動車の製造会社が、鶴見からやってきました。未だ製糸工場の名残が多い建物を見ることができる、日本機械工業株式会社。消防車が生まれる場所を訪れました。

 

 

消防自動車の歴史を創ってきた、日本機械工業

COB】テレビの取材などでよく取り上げられていましたが、実際に見学できる貴重な機会を頂きありがとうございます。消防自動車の製造という特殊な業種ですが、そのお仕事のきっかけはどのようなものでしょうか。

 

代表取締役 高田立雄さんにお話を伺いました

代表取締役 高田立雄さんにお話を伺いました

【高田さん】当時は画期的だったのですが、今はあまりにスタンダード過ぎる規格でその名前が出てくることがないのですが、元々、町野式接手という、ホースのジョイント部分(カチャンとホースをはめる部分)の開発に出資したのが始まりです。それを事業化したのが、大正11年「ジョイント商会」の創業でした。昭和11年に、社名を「日本機械工業株式会社」に改名し、消防ポンプ自動車の製造を開始しました。

 

Machino Katakura companyのイニシャルで表現されたロゴ

Machino Katakura companyのイニシャルで表現されたロゴ

 

この部分が町野式、消防車でなくても、よく見る仕組みのもの

この部分が町野式、消防車でなくても、よく見る仕組みのもの

元々鶴見にあった工場が戦災により焼失しこちらに疎開して来てから、ずっとこの場所になります。親会社である片倉工業株式会社が、その前この場所で製糸工場をやっていたので、工場内の建物にはその名残があるのですよ。一時期は製糸と消防ポンプを両方やっていたこともあるそうです。

 

昔の建物が未だ残り、使用されています

昔の建物が未だ残り、使用されています

放水試験所。湧き水を利用しています。繊維系業種でも湧き水は重要です

放水試験所。湧き水を利用しています。繊維系業種でも湧き水は重要です

COB】製糸というキーワードが、また八王子との繋がりを連想させてくれますね。創業から今まで、かなり多くの開発が成されていますね。代表的なものを教えていただけますか?

 

会社案内には多くの開発が記されています

会社案内には多くの開発が記されています

【高田さん】例えば、タンクをPP (ポリプレン)という樹脂素材にしました。それまで、鉄やステンレスが主に使用されていたのですが、PPにすることで軽量化プラス耐腐食性と、また加工で自由度が上げられるので、評判が良いです。ボディもPPにするというケースも増えています。タンクを軽量化した分、機材も多く積む事ができます。

 

金属のこうした形のタンクもPPにすると四角にでき、容量が積めるようになる

金属のこうした形のタンクもPPにすると四角にでき、容量が積めるようになる

品質第一で社会に貢献する

COB】消防自動車の製造依頼はどのように受けているのですか?

 

【高田さん】基本は入札になります。中央自治体が決める消防計画があるのですが、例えば人口や建物、エリアによってどこに何を設置するかということですが、それに対して営業が、製品を提案していきます。今の時期(5)ぐらいがちょうど入札、7月ぐらいから新しい車が入って来て、11月からが本当に忙しくなります。

 

塗装される前の状態、入荷時はシャーシ、エンジン、キャブの状態

塗装される前の状態、入荷時はシャーシ、エンジン、キャブの状態

機械工場で消防車の命であるポンプ部分は組み立てられる

機械工場で消防車の命であるポンプ部分は組み立てられる

組立工場でポンプを始め用途に合わせた機能を車体に搭載していく

組立工場でポンプを始め用途に合わせた機能を車体に搭載していく

COB】例えば、八王子の駅前は今マンションが増えて来ていますが、そういったことで消防計画も変わってきますよね。それに対してのニーズも変化しますよね。そういったリサーチはどのようにされていますか?

 

【高田さん】営業がお客様からリサーチをしてきます。その声を聞いて、新製品を開発していきます。営業は設計の出身が多く、営業マンが現地で修理することもありますし、車のことをよくわかっています。現場の人間たちは、自社の消防車を見分けることができますよ。

 

COB】現場の方々も誇りが持てる仕事ですよね。

 

【高田さん】自分の車のナンバープレートを119にしているスタッフもいますよ。

 

COB】他、製品を提供する上で、他社との差別化、強みなどございますか?

 

【高田さん】乗る人のことまで、考えて設計しています。まず、4人乗れなければいけないのですが、後部座席は立って着替えができるぐらいのスペースをとったり、背負うボンベのためのスペースを椅子の後ろに作ったり、資材の位置なども一つ一つ、とにかく使いやすいように要望を聞いて打ち合わせで決めていきます。例えば雪が多いところ、山が多いところなど環境で搭載するものも変わってくるので、そういった対応をしていきます。

 

こうした収納についても全て細かい打ち合わせをします

こうした収納についても全て細かい打ち合わせをします

座席の後ろのスペースをとるなどの工夫で使いやすさを追求します

座席の後ろのスペースをとるなどの工夫で使いやすさを追求します

アウトリガー(車体を安定させる装置)の点検中

アウトリガー(車体を安定させる装置)の点検中

この業種は一強他弱となっていて、当社は2番手なのですが、業界自体横ばいになっていて、消防車の製造台数も年々少なくなっているのです。

 

COB】でも、延々と必要とされているものですよね?

 

【高田さん】理由として一つは、消防自動車自体の寿命が延びた、車の性能が良くなって、昔ほど壊れなくなりました。元々そんなに距離を走らないですし。今消防車の寿命は20年ぐらいなのです。

 

修理、点検、オーバーホールも行なっています

修理、点検、オーバーホールも行なっています

ハシゴ車など扱う特捜工場、ハシゴまでバラして整備します

ハシゴ車など扱う特捜工場、ハシゴまでバラして整備します

もう一つの理由として、広域化というのですが、最近は道路が整備されて来て、一箇所の拠点から遠くまで移動できます。なので分署が少なくなったり、地域によっては隣同士の市町村をまたいで出動するようなことも行なっているので、今までよりも少ない台数で緊急時に対応できるようになりました。

 

さらなる可能性を追求して

COB】会社として何か新しい目標などございますか?

 

【高田さん】もちろん消防自動車ベースで、消防車は、外見は変わっていないけどポンプの性能や、例えば(消火薬剤の)泡と水両方出せるシステムなど、中身はどんどん進化しています。そうした機能を充実させていくのはあります。それと、それ消防車以外、特殊用途の車などでウチの製造技術が使える分野に応用できればと思います。

 

あとは、アジアを中心に、海外へのシェアも広げていきたいです。

 

ロボットも必要ですよね。基本人の手が必要なくなることはないですが、人を手助け出来るようなロボットも普及していくと思います。そういったこともやっていかないと。他社や大学などの機関と共同開発などもできればと思います。

 

COB】たしかに原発でも、今ロボットが活躍していますね。高層マンションが建ったりと街が多様化しているので、消防車が少なくなるのならばその分、そうした新しい消防システムが充実すると良いと思います。

 

フルラインで消防自動車を扱っている会社は、日本機械工業を含めて2社のみだそうです。常に消防に役立つものを開発し、高品質な製品を提供し続け、全国各地で社会に確実に貢献し続ける工場、今後の活躍に期待が高まります。

 

日本機械工業株式会社

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TEL 042-622-7281

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