基本情報

有限会社 ⼤惠

東京都八王子市元本郷町2-3-1

042−626−5894

⽇本の繊維業を⽀える整理加⼯⼯場


⽣地やファッションアイテムがパッケージングされ、製品として売り出される前に、⼯程として整理加⼯というものがあります。繊維製品は織ったら、編んだら完成ではなく、その後⼯程でようやく求められる質感や触感になります。そうした整理加⼯を、⼋王⼦の織物・繊維業と共に60 年以上に渡り営んできた、⼋王⼦だけではなく全国の繊維業を⽀える有限会社⼤惠。元本郷町になる⼯場を訪れました。

 

 

整理加⼯⼀筋、有限会社⼤惠

【COB】取材で何件か繊維⼯場を回らせて頂いて、整理加⼯という⼯程を初めて知りました。製品化には必要不可⽋な⼯程ですよね。ファッションアイテムって、シーズンによってデザインが毎回変わっていくので、同じものをずっと作り(加工し)続けるということはなさそうです。

 

【⼩宮さん】⼀お客様から同時期に頂く仕事でもアイテムが複数有ります。それを数社から⽇々⾊々と頂いているので、毎⽇が戦いというか、その時々でそれぞれに対応しなければなりません。

 

専務取締役⼩宮浩さんにお話を伺いました

専務取締役 ⼩宮浩さんにお話を伺いました

【COB】創業からずっとそれを続けていたのでしょうか。

 

【⼩宮さん】創業は昭和25年に祖⽗、⼩宮六三郎の開業なのですが、まだその時代は、着物関係、反物をメインに取り扱っていたと聞いております。東京オリンピックの頃、世の中のファッションの変化で扱うものがネクタイやマフラー、ストールなどに変わってきました。

 

【COB】⼋王⼦という⼟地柄、やはり周辺の⼯場からも⽣地が回ってきますか?

 

【⼩宮さん】6、7 件あります。少量、⼩さいものならば⾃社で完結させているところもありますが、量産や⼤きいものになると難しいですから。

 

 

仕上がりへの努⼒

【COB】先ほどのお話ですが、例えば家庭での洗濯でさえ、素材によって洗剤、洗い⽅、アイロンの掛け⽅、⼲し⽅だって様々あり、混乱します。製品が毎回違い、仕上がりの質感もそれぞれとなると、本当に毎⽇途⽅もないというか…。

 

【⼩宮さん】⽣地って、無限のパターンがあるのです。⽷の素材、縦⽷、緯⽷の組み合わせ、⼀回加⼯した製品のデータや結果は残していても、次に全く同じ製品はこないです。新しいものはまたそれに合わせた加⼯になります。

 

【COB】そうすると、経験からある程度、要望に寄せていくことはできても、完全に要望通りにするには、さすがに量産する前に⾒本で先⽅とすり合わせしていきますよね。

 

【⼩宮さん】例えばABCD といった加⼯パターンを作って、どれがいいですか?ということはやります。量産の場合はそうします。こちらのいいと思う質感と、求められている質感もまた、違いますから。同じ素材と編み⽅の製品があっても、お客様によって欲しい質感が違ったら、⼯程も変わります。

 

 

⼯程の組み合わせ

【COB】実際どのような⼯程があるのでしょうか。

 

⼯場内を⾒学させて頂きました

⼯場内を⾒学させて頂きました

※今回、撮影NG の製品が多かったため、⼯程の説明には⼩宮さんが事前に撮影頂いた画像を使⽤させて頂きました。ありがとうございます。

 

【⼩宮さん】まずは縮絨です。これは基本作業です。洗うことで⽣地が縮み、次の作業への準備⼯程となります。ですが、この洗い⽅、お湯の温度、柔軟剤、速度が仕上がりを左右します。

 

ウール製品では、この⼯程でボリュームや⾵合いを出します

ウール製品では、この⼯程でボリュームや⾵合いを出します

縮絨加⼯前、加⼯後を⾒据えて織られています

縮絨加⼯前、加⼯後を⾒据えて織られています

縮絨加⼯後、まとまっています。こういった⽤途でも使⽤されます

縮絨加⼯後、まとまっています。こういった⽤途でも使⽤されます

そして乾燥、昔は乾燥室があり、天気が良い⽇は⽇⼲しもしていましたが、当時はまだ扱っている製品の種類もそんなになかったので、それが可能でした。今はシリンダー乾燥、タンブラー乾燥とあります。

 

シリンダー乾燥は、平らなところを通っていくので、⽣地がフラットな仕上がりになります。タンブラー乾燥では、⾵合いだしやボリュームアップができます。反物でも、そうした質感が欲しい場合は、シリンダーではなくタンブラーを使⽤したりします。

 

シリンダー乾燥。反物⽣地に使⽤されます

シリンダー乾燥。反物⽣地に使⽤されます

タンブラー乾燥。⽣地がふんわりしそう

タンブラー乾燥。⽣地がふんわりしそう

縮んだ⽣地をまた所定の幅まで広げていく、テンターという機械での⼯程があります。蒸気でむしながら、シワを伸ばし⽣地の幅を広げていきます。

 

⽣地が⼀定の幅になるように広げながら整えていきます

⽣地が⼀定の幅になるように広げながら整えていきます

他に、ウール⽷使⽤の服地などに対応している起⽑機。名前の通り、マフラーなどの⽑⽻⽴った⾵合いを出すものです。この機械は、⼿放してしまった⼯場も多く現在業界では貴重になっており、遠⽅からの問い合わせもあります。

 

回転する機械に布を通します

回転する機械に布を通します

よく⾒ると⽣地がひっかかるように針がたくさん

よく⾒ると⽣地がひっかかるように針がたくさん

このような針が機械に巻きつけてあって、⽣地に引っかかり起⽑させます。

 

先端の⾓度や、細さによって⽑の⽴ち⽅も変わってきます

先端の⾓度や、細さによって⽑の⽴ち⽅も変わってきます

またニット⽣地⽤のスチームアイロン、ものによっては⾦枠を⼊れて下から出る蒸気でセットし、幅を整えます。

 

蒸気は台の⽅から出てきます

蒸気は台の⽅から出てきます

ニットは、ものによってはこうした⾦枠に固定して、スチームします

ニットは、ものによってはこうした⾦枠に固定して、スチームします

蒸絨機(じょうじゅうき) もあります。広い⽣地などを巻き込みプレスセットします。

 

⽣地を蒸絨機に⼊れ

⽣地を蒸絨機に⼊れ

出てきたものは巻き取っていきます

出てきたものは巻き取っていきます

これら⼯程の組み合わせ、⼯程⼀つずつのさじ加減で、製品の仕上がりが変わってきます。なので、製品によって全⼯程を⾏うわけではありません。例えば、ウチで扱っているT シャツは縫製後⼊荷され製品のまま1 回洗い、アイロンもかけずそのまま納品します。その質感がその製品の仕上がりなのだとか。

 

【COB】⼀般的なT シャツだとアイロンがかけられていますよね?そうした⼯程の引き算で得られる⾵合いもあるのですね。

 

⼯場内、何台かミシンを⾒かけましたが、必要なのですか?

 

【⼩宮さん】機械に⽣地を⼀度に通したりするのに、複数の⽣地を⽷1 本で仮縫いします。このミシンなんかは、今ではなかなかお⽬にかかれない型ですよ。

 

⼩さめの⼀本⽷のミシン、型も古く、レアそうです

⼩さめの⼀本⽷のミシン、型も古く、レアそうです

ニット⽤のミシンもあります。こちらもニット⽣地を⾦枠に付ける様に繋ぎ合わせるのに使います。

 

これもまた珍しい型

これもまた珍しい型

 

意外と⼀般の⽅にも活⽤されていました

【COB】個⼈のお客様や学⽣さんからの依頼もありますか?

 

【⼩宮さん】多いのが、個⼈の⼥性の⽅、趣味で織っていたり、教室で作った⽣地を持ち込む⽅が多いです。教室の先⽣がウチの仕上がりを気に⼊って、⽣徒さんに紹介するなんてことがありました。学⽣さんだと、授業で織った⽣地を、全⽣徒分でまとめて加⼯するなんてこともあります。

 

【COB】個⼈の⼥性の⽅が多いというのは、意外です。個⼈でも織物やられている⽅が多いのはうれしいです。

 

冒頭でも触れましたが、織ったり、編んだり、縫ったり、テキスタイル製品はそれで完成ではなかったのです。こうした⼯程が、肌触りを創っていました。 今回、ボリュームや触感、またUVカット加⼯まで、1 アイテムごとに向き合う整理加⼯の奥深さを垣間⾒ることができました。有限会社 ⼤惠の60 年以上培い、引き継がれている技術や経験値は、今後も⼋王⼦繊維業の素晴らしい財産になるのではと思います。

 

1 枚、1mといった⼩ロットから対応しているそうですので、 織物の仕上げに困った⽅、お気軽にご相談ください。

 

有限会社 ⼤惠

東京都八王子市元本郷町2-3-1

TEL 042-626-5894

http://www.daikei-seiri.com

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