基本情報

奥田染工場

奥田染工場

東京都八王子市中野上町1-12-14

042-622-2594

http://www.okudaprint.com/

美しいシルクスクリーン印刷を頼みたいなら


 奥田染工場 奥田博伸さん

本日、お話を聞かせてくださったのは昭和初期に設立した奥田染工場の4代目奥田博伸さんです。布に柄を印刷するシルクスクリーンプリント(手捺染)を中心に制作しています。
現在も多くの若手デザイナーとコラボ、日々新しい布のカタチを生み出しています。モデルを包む美しい洋服は、八王子の工場で作られていると知っていましたか?
奥田さんに、シルクスクリーン印刷の魅力について教えていただきました。

 

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お話を聞かせてくれた奥田さん

シルクスクリーン印刷について教えて下さい

【奥田さん】もともとは型友禅染めの工場だったのですが、型紙というのをナイフで切って型にする。それが光を当てて、光が当たったところが固まり、光が当たらなかったところが固まらず、それによって柄を写し取った版が出来るようになって、その版を色ごとに作って印刷していく方法です。その技術が生まれたときは何にでもプリントできると言うことでいろいろな印刷技術に影響を及ぼしました。現在は、印刷技術も進化して、インクジェットという方法が多く使われるようになっています。
シルクスクリーンもその進化の途中で、機械化と大量生産化が進みましたが、自分たちは今も職人の手によって染める方法を行っています。

 

【COB】そうなんですね!どんな方と仕事をさせることが多いんですか?

 

【奥田さん】時代によって、その時代に合わせたいろいろな仕事をしてきました。今は、間に人をなるべく通さず、デザイナー自身と直接ものづくりすることが多いです。
今の世の中だからこそ、コミュニケーションを積み重ねて生み出す物作りというのが、とても大切だと思っています。

 

シルクスクリーン印刷の過程を説明していただきました。

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【奥田さん】工場は大きく分けて、染料場、板場、蒸し場の3つの仕事場に分かれます。
まず、ここが染料場です。デザイナーから指示を受けた色を作る場所です。

 

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布や仕様に合わせて、様々な染料や薬品が並びます

【奥田さん】ここが板場です。捺染台に布を固定し、左から順番に版を置き擦っていきます。
この捺染台は26mあります。布の一反がおおよそ50mなので、折り返してちょうど一反の長さになります。
通常、同じ形式の捺染台が並ぶことが多いのですが、弊社の場合、昔から難易度の高い仕事をやることが多く、2台ごとに全部バラバラで、様々な加工に対応できるように作られています。

 

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取材時は、社員の方がメンテナンスをしていました

【奥田さん】次は蒸し場ですね。プリントしたものを蒸すことで色を定着させます。箱蒸しという古い方法です。一時期高速の蒸し器もありましたが、あまり大きなロットを作らなくなり、いろいろな対応が出来るこちらの蒸し器を残して、壊しました。顔料プリントの場合は熱乾燥の機械を通ります。

 

巨大な蒸器が鎮座しています

巨大な蒸器が鎮座しています

【奥田さん】最後が水場です。布についた余計な染料を落とす場所ですね。昔は、それぞれの場が専門職で、まず新人はここから担当させられたと聞いています。

 

「(水を含んだ布は重いので)水洗は大変です」と奥田さん

「(水を含んだ布は重いので)水洗は大変です」と奥田さん

細部への細やかさが必要なシルクスクリーン印刷

【奥田さん】最初に、デザイナーから、紙やデータなどで、柄が送られてきます。ただ、それを布の上で実際にプリントした時に見える印象は、紙の上や画面の上とは変わります。デザイナーにとって、色が同じに見えることと、色のイメージが同じに見えることは違います。布の上に乗ると印象が変わるんです。だから、例えば、グレーといってもたくさんの色があります。どれが布の上に乗った印象として求めているものか、確認します。

 

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特別にカラー表を見せてくれました

【COB】すごい微妙な違いですね。これだけ提案されれば、こだわるデザイナーさんも満足しますね。

 

【奥田さん】そうやって、色の確認をして作業を進めていきます。付き合いが長いデザイナーだと、どんな感じを求めているかなんとなくわかるようになっていくので、やりやすいですね。初めてのデザイナーであれば、どういう物作りをされてきているんだろうとか、どういうものを欲しているんだろうとか、そういうところからですね。そういう意味では、物作りって、その場で消費するものではなくて、お互いに育てていくものだと感じています。

 

【COB】この仕事は、本当に神経質な人間じゃないと難しいですよね?

【奥田さん】そうですね、100中の120を予測出来ていないとどこかでミスが生まれてしまうから。それは難しい仕事をするほどにそうです。ハンドスクリーンの良さって言うのが、様々な特殊な加工も出来ると言う側面があって。どれぐらい予測できるか。布は生き物なので、思っていた状況が変化したときにどれだけ柔軟に対応出来るかというのはすごく大切です。とはいえ、うまくいかない時はうまくいかないんですけどね。

 

特別にカラー表を見せてくれました。色のイメージを共有するために対話は必須です。

特別にカラー表を見せてくれました。色のイメージを共有するために対話は必須です。

ものづくりを丁寧に作りたい

【奥田さん】自分たちに出来ることと言うのは、物作りをする上で本当は大事だったはずなことをちゃんとやろうよということです。大量生産される中だったり、スピード重視だったりする中で、やはりおろそかになっている部分って言うのがあると思うんですね。すべてではないけれど、やはりそういう側面がある。だとしたら、やはり物作りって何なんだって部分のリアリティを知ることはすごく大事で、だからこそ、実際にデザイナーたちが、足繁くこの実際の現場に通ってくれています。仕様書だけじゃどうしたってリアリティがないんですよ。デザイナーはそのものの良さを誰よりも代わりに伝えられる存在でもあるんですから、その良さに設計者自身がリアリティを持って気づけなければ駄目だと思うんです。

 

【COB】奥田さんにモノ作りを教えていただける場なんてあるんですか?

 

【奥田さん】月1回、実習(実際に捺染台を使った作品作り)を行なっています。詳しくウェブサイトを見て頂けたら。

 

産地と若手デザイナーを繋げる

【奥田さん】そういう考えの延長でもあるんですが、全国の布産地、その工場にたくさんのデザイナーとともに足を運ぶ活動をしています。足を運ぶって大事だと思うんです。実際の場に行って、どんな場所で、どんな人が、どんな布を、作っているのかというのを経験する。
その中で、どんな布を魅力的だと思うか。どんな人や場所を魅力的だと思うか。布を手にとって見る。見たふりのことがきっと多い。それだけだったら気付けないところにちゃんと気付けるようになる。プロであるかどうか、その質の差は、細部にどれほど目が行き届いているかの差だと思うんです。

物作りって楽しいんですよ。自分の服を形作る、ものづくりの仲間がたくさんになったらすごく幸せなことだと思うんです。次のシーズンの展示会に足を運ぶと、そこにこの前一緒に足を運んだ産地の布が並んでいたりする。

ものづくりにリアリティが生まれて、そのデザイナーのクオリティを上げていく。そうやって、この場所がみんなで成長していける場であることが、この仕事を続けている意味のひとつだと思っています。

 

奥田さんのお母様も現役です

奥田さんのお母様も現役です

一見飄々とした奥田さんですが、内にはものづくりへの強い情熱がありました。「シルクスクリーンを使って、何かを作りたい」「もっと布について知りたい」という思いを持った方は、奥田染工場に連絡をしてみてはいかがでしょうか。

 

奥田染工場

東京都八王子市中野上町1-12-14

042-622-2594

 

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東京都八王子市中野上町1-12-14

042-622-2594

http://www.okudaprint.com/