基本情報

有限会社佐藤ニット

東京都八王子市大横町2−18

042−622−4798

[email protected]

http://satoknit.petit.cc

省エネ&高品質ニット生産のモデルケース


有限会社佐藤ニット 佐藤祐幸さん

セーターやマフラーなど、厚手もあれば薄手もあるニット製品を工場でどのように作っているのか、また1995年に誕生したニット製品の改革、それらを知ることが出来るニット工場が八王子にありました。有限会社佐藤ニットに伺いしました。

 

工場についてお話してくれた代表の佐藤祐幸さん

工場についてお話してくれた代表の佐藤祐幸さん

セーターと時代背景

COB】創業について教えて下さい。

 

【祐幸さん】会社にしたのは平成元年なんだけど、私が始めて55年ぐらい、さらにその前(父親の代)20年ぐらい。父親は機関係のサラリーマンだったのだけど、母親が編み物教室をやってたのね、でそれがきっかけで職人さんを雇ってニットの工場として独立したのが元々。

 

COB】どのようなお仕事が多いですか?

 

【祐幸さん】10年ぐらい前までは100%二次下請け、今は9割ぐらいは直接の取引でやってて、ほとんどのセーターは、糸は購入してその後は出荷まで一貫して請け負ってる。(飾ってあるサンプルを見て)このセーターもなんだけど、ウチで全部編んでる。無縫製ニットっていう、ホールガーメントって(製品ができる)機械なんで、仕上げ、後加工まで中で出来るんだよ。

 

ホールガーメントのセーター

ホールガーメントのセーター

あとはセーターに付属する帽子とかマフラーなんかも近頃はお願いされるかな。

 

今はデザイナーさんを売りにしているようなアパレル会社から、またセレクトショップで売られている様なセーターの仕事が多いね。

 

でも昔、私なんかが始めた頃は、同じ形のセーターを45年ずっと編んでた。ものがない時代だったから、とりあえず着られるものを売ればよかった。その後15年ぐらい経ってから、何月にはこの品物、なんてシーズンごとの仕事がだんだん出て来た。みんなが色んなものを欲しがって、作る会社も紳士物、婦人物がちゃんと分かれて厚手や薄手などもニーズも様々になってきた。

 

ニット一つとっても色々な表情があるんですね

ニット一つとっても色々な表情があるんですね

COB】デザインのニーズが増えてくる、豊かさの象徴ですね。

 

「ホールガーメント」

COB】無縫製ニット機とジャガード機が設備としてありますね。

 

【祐幸さん】今の仕事はホールガーメントが9割、ジャガード機はたまにしか使わないって感じだね。

 

COB】あ、そうなんですね、、えっと、「ホールガーメント」ってなんですか?

 

【祐幸さん】無縫製ニットのこと。縫製っていうのはミシンとかで繋ぎ合わせることだけど、1台の機械上で製品の形を作り上げるのが無縫製ニット。他の方法だと、裁断する人、縫う人が必要だけど、それがないから原料さえあれば仕上げて出荷まで、ウチの場合は3人でできるってこと。

 

編み機から出てくる時点ですでにこの形

編み機から出てくる時点ですでにこの形

COB】機械からほぼ完成品が出てくるんですね。すごい!

 

※ニットウェアを従来の作り方をすると、前身頃、後身頃、袖といったパーツを別々に編成して縫い合わせる工程になります。ホールガーメント製品はその縫い合わせ工程が省略されるので、カットロスも減り、時間も人件費も大分節約できます。また品質的にも、縫い目がないとフィット感やシルエットが向上するという優れものなのです。この技法を実現出来る編み機は、1995年に株式会社島精機製作所によって開発されました。

 

COB】ではホールガーメントの工程を見せて頂けますか?

 

コンピューターによる編み物

 

工程は佐藤敦彦さんに説明をして頂きました

工程は佐藤敦彦さんに説明をして頂きました

【敦彦さん】まずデザイナーさんと打ち合わせをするんですけど、どんな糸を使いたいかというところで、糸見本帳から選んで頂いたりと決めていただきます。次は製品の形を選んで頂きます。形も見本から選んでいかれる方が多いです。そこから変形させたいなどの希望を相談させていただきます。

 

 

ニットの見本帳

ニットの見本帳

打ち合わせをした指示書を元にCADでパターンをプログラムしていきます。実際は打ち合わせで糸を決めた後まずテストピースといって、四角い度目(編み目の大小)のサンプルを5段階ぐらいで作り、デザイナーさんにどれにするか決めていただきます。その度目値もCADの方に打ち込む手順になります。

 

 

指示書を元にCADにパターンや数値を入力していきます

指示書を元にCADにパターンや数値を入力していきます

ただCADでいくら数値を決めても、ニットは実際編むと少し小さくなるし、伸びるものなので、打ち合わせでデザイナーさんの意図を汲み取り、それをどのような数値で作れば求めているものができるかはフィーリングですね。

 

プログラムは細部まで、場合によっては0から自分で設定します

プログラムは細部まで、場合によっては0から自分で設定します

一方、製作過程の下準備として、まずは糸にロウをまとわせ、コーン(紙管)に巻き直します。 編み機は金属なので、そこを通過する糸の滑りをよくするためです。

 

写真真ん中の薄茶部分のロウに糸をまとわせ、コーンに巻き直す

写真、真ん中の薄茶部分のロウに糸をまとわせ、コーンに巻き直す

出来上がったCADデータを編み機の方に移し、ロウをまとわせた糸を設置したら、編むのを開始出来ます。

 

USBで編み機にCADデータを移します

USBで編み機にCADデータを移します

編み機の方でも編み方の設定はあります

編み機の方でも編み方の設定はあります

 

編み上がった後の工程

COB】機械からは、製品の上()から出て来ますか下(裾や袖口)から出て来ますか?

 

【敦彦さん】下から出て来ます。製品にもよりますが、裾と袖口は捨て糸という、機械が編みやすくするためだけの不要な部分でくっついています。抜き糸を12箇所切って引っ張れば、捨て糸はすぐに製品から分離します。

 

製品は下の方から、編まれてでてきます

製品は下の方から、編まれてでてきます

白い部分はデザインではなく、不要な部分

白い部分はデザインではなく、不要な部分

COB】糸を切る道具は普通の裁ち鋏なんですね。ここでようやく人の手が入った感じがします。

 

抜き糸を切って捨て糸を本体から分離

抜き糸を切って捨て糸を本体から分離

【敦彦さん】あとは糸が残っている部分があるので、ほつれないように留める作業があります。そうしたら洗いの作業になります。

 

糸をほつれないように留める

糸をほつれないように留める

弊社では市販の洗濯機を使っていますが、柔軟材で洗う場合、お湯で洗う場合と使い分けてます。洗い方や洗い、乾燥の時間も仕上がりの色や質感に影響します。

 

洗いの前と、洗って(アイロンで)セットした後の製品の違いを見て下さい。

 

COB】あ、手触りも厚みも全然違いますね!そこも計算して作っていくのですね。

 

重なっている上がセット後、下が編み機から出てきた状態のもの

重なっている上がセット後、下が編み機から出てきた状態のもの

【敦彦さん】洗いの結果はもう経験して覚えるしかないです。で、その次はアイロンでセットします。

 

蒸気を出して、押し当てすぎずにかけます

蒸気を出して、押し当てすぎずにかけます

 

セット後、ネームをつけ、袋詰めして出荷、といった感じが一連の工程になります。

 

ニット製作の相談がしたい!

 

【COB】アパレルメーカーからのお仕事が多いとのことですが、 例えば学生さんや個人の若いデザイナーさんからの依頼とかも受け付けていますか?

 

【祐幸さん】今やってる仕事でそこから始まっている人もいる。もしも若い人で何かあれば、相談にのるよ。 ニット製品を考えている若手デザイナーの皆様、メールにて問い合わせて見て下さい。あなたのニットの可能性がここで広がるかもしれません。

 

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FAX 042-622-9562

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