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職人技!クオリティの高い焼付け塗装なら

2016.12.19

大野塗装 大野晃一郎さん

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今回は塗装は塗装でも“焼付け塗装”を行う「大野塗装」を尋ねました。一般的には耳馴染みのない焼付け塗装。「焼いたあとに塗装するか、塗装してから焼くのか」と我々も興味津々です。どんな加工技術なのでしょうか? 「大野塗装」の3代目、大野晃一郎さんに焼付け塗装について詳しくお話を伺いました。素晴らしき焼付け塗装の世界へ皆様をご案内します。

 

“焼付け塗装”って何ですか?

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【大野さん】焼付けメラミンという塗料を金属に吹き付けます。それを150度で20分間焼成すると熱によって硬化し、乾いた状態になる、これが完成形。この塗装方法を焼付け塗装と言うんです。

 

【COB】そんなものを塗装することが多いですか?

 

【大野さん】うちは基本的には細かいものが得意かな。音響機器や測定機器など部品を塗ることが多いです。 塗装と言うと車の塗装をイメージすると思うけど製品は違うんだよね。車の塗装はツヤあり、さらに上からクリアをかけます。だから、少々の傷がついても磨けば消える。 製品は半ツヤもしくはツヤ指定が多いです。塗ったあとにいじれない。 「では、傷やゴミがついたらどうすのか?」 その場合は塗装を全て剥がして、再度塗り直しになります。本当に気を使う仕事なんです。

 

【COB】適当な人には不可能な仕事なんですね・・・。普通の塗装ではなく、焼付け塗装で色を塗るメリットはあるんですか?

 

【大野さん】金属に塗る場合は錆止めになります。メラニン以外にもウレタンで塗装する場合もあり、そういった場合は耐候性に優れますね。皮膜が外的環境に侵されにくいメリットがあるんです。

 

【COB】「大野塗装」には、どんなお客さんが多いんですか?

 

【大野さん】メーカーとか板金屋さんから依頼が来ることが多いです。先ほど話した測定機器はJRで使われているんですよ。線路も長年使っていると歪んだり、反ったりしますよね。測定器を使って左右のバランスを測り、事故を防いでるんです。

 

大野さんが使用するスプレー

大野さんが使用するスプレー

日本塗料工業会のカラーチャートを使い色を選定しています

日本塗料工業会のカラーチャートを使い色を選定しています

 

「手を抜こうとすると逆に大変」最初から最後まで手が抜けない焼付け塗装!

【大野さん】お客さんから塗装を依頼された部品が届、最初に行うことはトリクロールエチレンという洗剤を使いゴミやホコリを落とす作業です。

 

外で洗うため、冬での作業は厳しいです

外で洗うため、冬での作業は厳しいです

【大野さん】板金物は曲げ、溶接、部品付の3つで作られています。溶接したところは、どうしても厚みが増しますよね。そこを削り、整え、表面をフラットにする。最終的には手作業で紙ヤスリで磨くのですが、手だけで平らに磨けるのは工場でもオレしかいないんですよ! 続けて、 塗ってはいけない部分をマスキングテープを貼ります。

 

細かい下処理が肝心です

細かい下処理が肝心です

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大野さんは磨きの作業が一番好きと話します

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磨き続けたことによって手で並行が分かる大野さん

【大野さん】ココで、やっと塗装に入れるんです。ホコリやゴミが入らない隔離された部屋で塗装の作業を行います。強いライトで当てて、塗れているかを確認するから夏は暑いんだ(笑)

 

塗装台には、長年の塗装がレイヤー状に積もっています

塗装台には、長年の塗装がレイヤー状に積もっています

この塗料を塗り重ねます

この塗料を塗り重ねます

塗装する際に部品を支える鉄棒

塗装する際に部品を支える鉄棒

【大野さん】最後にガス釜で焼成して、完成です。

 

ゴミやホコリが付く前に、塗装してから直ぐにガス釜に入れます

ゴミやホコリが付く前に、塗装してから直ぐにガス釜に入れます

 

塗装屋のプライドを持って塗る

【大野さん】見ていて分かったと思うけど、とにかく下処理が長いでしょう(笑) 下処理って塗装すると見えないですよね、だからいくらでも手を抜くことが可能なんです。しかし、なにかトラブルが起きた際に、塗装を剥がされて、なかを見られると手抜きが分かります。 この仕事は信用商売。だから仕事は、ウチは適当な仕事は絶対にやらない。社員全員が「自分ところから不良品は出さない」と塗装屋のプライドを持って仕事をしてます。

 

ミスを出さないためにも確認作業が不可欠です

ミスを出さないためにも確認作業が不可欠です

一緒に働きたい人も大募集!

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【大野さん】うちの場合は従業員を家族だと思って雇っています。仕事をしていれば、本当の家族よりも長い時間を一緒にいるでしょう。最近、80歳の職人さんがやめたので、その穴を埋めるためにも1人欲しいんです。1つの作業に集中するのではなく、色々な作業を楽しめる人が良いですね。 同じ価値観を共有できる人がいいなぁ、やっぱり会社のモチベーションと同じベクトルに向いてないと厳しいよね。「そこまで責任を持てませんよ」と言われたら「気負ってるのオレだけかなぁ・・・」って思っちゃいますよね。 和気藹々と良い雰囲気で仕事ができる方を募集中です。

 

趣味も塗装だという大野さん。作ったミニ四駆はコチラ

趣味も塗装だという大野さん。作ったミニ四駆はコチラ

大野塗装工業

八王子市北野町590−8